医師が解説:ボトックスとヒアルロン酸の違いを知って理想の美容ケアを選ぶ方法

近年、多くの方が「しわやたるみを手軽に改善したい」「顔の印象を若々しくしたい」という目的で、美容皮膚科や美容クリニックを訪れています。とりわけ人気が高い施術として挙げられるのが「ボトックス注射」と「ヒアルロン酸注射」です。いずれも注射だけで手軽に行える施術ですが、実は得意とする効果や目的が異なります。本記事では、ボトックスとヒアルロン酸注射の違いを分かりやすく解説し、選び方のポイントをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

ボトックスとは

ボトックス注射とは、ボツリヌス毒素を主成分とした製剤を顔や身体に注入し、筋肉の動きを抑制することでしわを軽減する施術です。表情筋が原因となるしわ――額や眉間、目尻などの「表情じわ」――に効果的とされ、注入後は筋肉の動きが弱まることでしわの溝が浅く見えたり、新たなしわの形成を予防したりする働きがあります。また、筋肉をリラックスさせる効果を利用して、エラの張りや歯ぎしりを改善する目的でも注射されるケースがあります。

効果の特徴

・表情じわの予防、改善

・エラの張りや小顔効果

・脇や手足などの多汗症治療

副作用・リスク

・注射部位の内出血や腫れ、痛み

・過剰投与や注入部位の偏りによって、表情の不自然さや左右差が生じる可能性

・効果が強く出すぎると、注射周辺の筋肉が過度に動きづらくなる場合あり

効果の持続期間

おおむね3〜6か月程度といわれます。但し、個人差が大きく、初回よりも継続して受けることで持続期間が少し長くなる場合もあります。

ヒアルロン酸注射とは

ヒアルロン酸はもともと体内に存在する保湿成分の一種ですが、加齢とともに減少していきます。ヒアルロン酸注射では、このヒアルロン酸製剤をしわやくぼみ、または鼻・あごなどの輪郭形成部位に注入して、ボリュームを補うことで見た目の改善を図ります。特に、ほうれい線やマリオネットラインなど「たるみやボリュームロス」が原因で深くなるしわには、ヒアルロン酸注入が効果的です。

効果の特徴

・しわや溝をふっくら持ち上げる

・唇や鼻筋、あごなど、輪郭のボリュームアップや形の補正

・「即効性」が高く、注射後すぐに見た目の変化を実感しやすい

副作用・リスク

・注射部位の内出血や腫れ、痛み

・過度な注入は不自然な膨らみや、凹凸を引き起こす可能性

・血管に誤って注入された場合、血行障害や皮膚トラブルを生じるリスク(医師の技術が大切)

効果の持続期間

製剤の種類や注入部位にもよりますが、通常6か月から1年半程度。注入法によっては、さらに長く効果は続きます。

ボトックスとヒアルロン酸の大きな違い

1.目的と作用機序の違い

・ボトックス:筋肉の動きを抑えることでしわを改善・予防する

・ヒアルロン酸:失われたボリュームを補ってしわやたるみをふっくらさせる

2.対応しやすい部位

・ボトックス:額・眉間・目尻などの表情じわ、エラの張り、多汗症など

・ヒアルロン酸:ほうれい線、マリオネットライン、鼻・あご・唇など形やボリュームが気になる部位

3.持続期間と効果発現

・ボトックス:3〜6か月で効果が減弱、筋肉の動きが戻る

・ヒアルロン酸:6か月〜1年半(注入法によってはもう少し長い場合もある)、即効性が高い

4.施術後のダウンタイム

いずれも注射による治療であるため、施術直後は針跡程度の腫れや内出血が出やすい点は共通です。しかし、大きく切開する外科手術と比べればダウンタイムは格段に少なく、通常は日常生活に支障が出ないレベルといえます。

ユーザーがよく抱える疑問とその答え

1.小顔になりたいけど、顔全体の印象を変えたくない

エラの張りが原因ならボトックスによるエラの筋肉の抑制が有効です。一方、頬がこけているせいで「輪郭が大きく見える」タイプには、ヒアルロン酸でのボリューム補正が向いています。どちらが適切かは骨格や脂肪の付き方に大きく左右されるため、事前のカウンセリングでしっかり相談しましょう。

2.ダウンタイムが少ない施術がいい

ボトックスもヒアルロン酸も施術直後の腫れや内出血などの症状が出る可能性がありますが、いずれもメスを使う手術よりは軽いダウンタイムで済むことが多いです。内出血が出やすい体質や注入部位の血管の走行によって個人差がありますが、施術当日からメイクできるケースも多く、外出を伴う忙しい方にも取り入れやすい施術といえます。

3.自然に若返りたいのですが、どちらがベスト?

自然な若返りを目指すのであれば、しわの原因を正確に見極めることが大切です。表情筋の過度な動きによるしわならボトックス、皮膚や脂肪のボリューム減少が原因ならヒアルロン酸、両方が複合しているケースではボトックスとヒアルロン酸を組み合わせる治療法もよく行われます。

4.費用面はどれくらい違う?

ボトックスは注入部位ごとの料金設定で、比較的リーズナブルに設定されていることが多い一方、ヒアルロン酸は使用量(シリンジ本数)が増えるほど費用がかさむ傾向があります。ただし、どちらも治療範囲や製剤の種類によって料金は変わります。施術を受ける際は、クリニックで明確な費用説明を受けてから決定しましょう。

ボトックスとヒアルロン酸は併用できる?

表情じわが目立つ部分にボトックスを注射し、ほうれい線やマリオネットラインの溝をヒアルロン酸でふっくらさせる、といった併用は一般的に行われています。しわの原因が多面的な場合、両方を使い分けることで相乗効果が期待できます。ただし、施術の順番や注入の量を誤ると不自然になることもあるため、経験豊富な医師のもとで適切に施術を受けることが重要です。

クリニックを選ぶ際のポイント

1.カウンセリングの充実度

しわやたるみの原因は人によって異なります。ボトックスとヒアルロン酸のどちらが効果的か、あるいは併用した方がよいか、じっくり相談に乗ってもらえるクリニックを選びましょう。

2.医師の技術力・経験

特に顔の施術では、少しの誤差で仕上がりの印象が変わります。医師の注入技術やデザイン力はもちろん、アフターケアも含めて総合的に信頼できるかどうかが重要です。

3.使用する製剤の品質

製剤にはさまざまな種類があります。ボトックスは多種製剤がありますし、ヒアルロン酸も硬さや持続期間が異なる複数の商品があります。信頼のおける正規品や適切な製剤を使用しているかを確認してください。

まとめ

ボトックスとヒアルロン酸はいずれも「注射によるしわ・たるみ改善」という点では似ていますが、アプローチ方法はまったく異なります。表情筋の動きを抑えてしわを予防・改善するボトックス、失われたボリュームを補いながら深いしわや輪郭を整えるヒアルロン酸。しわのタイプや目的に応じて、どちらが適切かは一人ひとり異なるため、まずは専門家に相談し、最適な施術プランを提案してもらうことが大切です。

気になる副作用や費用面など、事前にしっかりとカウンセリングで疑問を解消しておけば、ダウンタイムや仕上がりに関して大きな不安なく施術が受けやすくなるでしょう。ボトックス・ヒアルロン酸の特性を正しく理解し、自分に合った美容ケアを選んで、理想の若々しさや美しさを手に入れてください。

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この記事の監修者

しのぶ皮膚科 院長 蘇原しのぶ Shinobu Sohara

2003年に東海大学医学部を卒業し、北里大学病院皮膚科、獨協大学医科大学附属病院皮膚科を経て、2016年にヒアルロン酸専門クリニック「しのぶ皮膚科」(港区三田)を開業。皮膚科・皮膚外科歴22年。

「ヒアルロン酸小顔カスタマイズ」と名付けたヒアルロン酸注入法で、他院では難しいと言われた患者さまの悩みを改善し、ボリュームアップだけではなく骨格形成、自然な若返り、たるみあげなどを、ヒアルロン酸単独で行う独自技術を持つ。自然な若々しさと美しさを追求したデザイン力に定評があり、日本全国のみならず海外からの患者様も多く、リピート率は90%以上。難病の患者さんの顔痩せや怪我の修復にヒアルロン酸注入による往診を行っている。

略歴

  • 平成15年3月東海大学医学部卒業
  • 平成15年4月北里大学皮膚科
  • 平成18年獨協大学病院皮膚科
  • 平成28年しのぶ皮膚科開業
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