ヒアルロン酸は本当に吸収されない? 長持ちの仕組みと正しい施術選び

美容医療において広く活用されている「ヒアルロン酸注入」は、シワやたるみ、ボリュームロスなどを手軽に改善できる治療法として人気があります。しかし、「施術後にヒアルロン酸が残るのではないか?」「一部だけ固まって吸収されないのでないか?」「体質的に吸収されにくいのではないか?」という不安や疑問を抱えている方がいらっしゃいます。

本コラムでは、医師の立場から、ヒアルロン酸がどのように体内で分解されるのか、そして「吸収されない」場合に考えられる要因や対処法について解説します。さらに、ダウンタイムやリスクを最小限に抑えるための施術選びのポイントや、適切なクリニック選びの基準などもあわせてご紹介します。

ヒアルロン酸はなぜ吸収されるのか?

ヒアルロン酸は体内にもともと存在する物質であり、皮膚や関節などに多く含まれています。体内に注入すると、時間の経過とともに酵素によって徐々に分解・吸収される仕組みです。通常、半年から1年程度で目立った効果は減少し、長くても1年半ほどで分解されるとされています。これは生体適合性が高いヒアルロン酸製剤の特徴であり、施術による副作用や異物反応が起こりにくい点がメリットです。

しかし一方で、実際の持続期間は使用する製剤の種類や注入部位、個々の代謝の速さによってばらつきがあります。さらに、体質や生活習慣によって分解が遅くなったり、場合によってはなかなか吸収されないと感じるケースもあります。

ヒアルロン酸が吸収されない人は本当にいるのか?

結論から言うと、極端に「まったく吸収されない」ということは通常ありません。但し、以下のような理由により「吸収されにくい」「長く持続しやすい」と感じる方は存在します。

1.製剤の種類・濃度の違い

ヒアルロン酸製剤には多数の種類があり、粒子の大きさや濃度、架橋(かきょう)と呼ばれる構造の違いによって硬さや持続期間が異なります。たとえば、頬やアゴなど形をしっかり出したい部位には硬めの製剤を使うことがあり、これらは比較的分解されにくい傾向があります。

2.体質・代謝の違い

ヒアルロン酸を分解する酵素(ヒアルロニダーゼ)の働きや、全身の代謝が比較的ゆっくりな方は、注入後に長く効果が残る傾向があります。逆に代謝が早い人は、思っていたより早く効果がなくなると感じるかもしれません。

3.施術後のケアや生活習慣

過度なマッサージや圧迫、あるいは喫煙や飲酒などが多い場合、ヒアルロン酸の分解が進みやすいともいわれています。逆に適切なケアや健康的な生活習慣を送っていると、結果的にヒアルロン酸の持ちが良くなることがあります。

4.注入する層・技術の問題

術者の技術によっては、狙った層にしっかり注入できずに偏りやボコつきが起こる場合があります。ヒアルロン酸が望まない箇所に留まると、吸収のプロセスが正常に進みにくい可能性があります。

ヒアルロン酸が吸収されにくい・残りやすい場合のリスクや対処法

1.しこりや硬結のリスク

分解されにくい製剤が偏って注入された場合、しこりや硬結のように触ると固く感じる状態になることがあります。万が一しこりが長期間続く場合は、ヒアルロニダーゼを注入して溶解を促す治療が行われることもあります。

2.ボコつき・左右差の発生

注入量や注入部位に左右差があると、時間経過とともに凹凸(ボコつき)が目立ってくることがあります。施術直後よりも後になって出現するケースもあるため、経過観察と修正が大切です。

3.施術前のカウンセリングが重要

「あまり吸収されない製剤がほしい」「できるだけ長持ちさせたい」などの希望を持つ方もいるでしょう。しかし、あまりにも硬く濃度の高い製剤を使うと、しこりや不自然な仕上がりになりやすいリスクがあります。医師とのカウンセリングでリスクを十分理解し、目的や部位に適切な製剤を選択することが大切です。

ダウンタイムや腫れを最低限にするポイント

ヒアルロン酸注入に伴うダウンタイムは、注射針の刺入による腫れや内出血、皮下のむくみなどが中心です。以下の点に気をつければ、比較的軽い症状で済むことが多いでしょう。

1.幹部を強く触らない・こすらない

ダウンタイム中は注入部位を極力刺激しないようにしましょう。

2.医師からの指示を守る

施術後はアイシングや生活面のアドバイスが提示されることがあります。指示に従い、早期の回復を目指しましょう。

3.余計なマッサージは避ける

過度なマッサージはヒアルロン酸の移動や分解を進める原因になる場合があります。

4.クリニック選びに注意

ダウンタイムが長引かないよう、解剖学的な知識や注入技術に熟知した医師を選ぶことが重要です。

まとめ:正しい知識とクリニック選びで不安を安心に

施術後の経過やトラブルのリスクは心配ですよね。しかし、実際にはまったく吸収されないことは稀で、多くの場合は製剤の種類や注入方法、体質などによって“吸収スピードに差が出る”というのが実情です。逆に、思ったよりもすぐに吸収されてしまう、と感じる方もいますが、これはヒアルロン酸注入が「定期的なメンテナンスが必要な施術」であることを示しています。効果の持続期間について理解を深め、必要に応じてリタッチや他の施術を組み合わせるなど、医師とよく相談しながら計画を立てると良いでしょう。

また、ヒアルロン酸注入は安全性が高い反面、しこりや左右差、過剰な残留などのトラブルが起こる可能性もあります。信頼できる医師やクリニックを選び、納得のいくカウンセリングを受けることで、仕上がりの満足度を高めながらリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

ヒアルロン酸による美容医療をうまく活用し、あなたの理想に近づくためにも、正しい知識とクリニック選びを心がけてください。わからないことや不安があれば、必ず医師や専門家に相談しながら施術を検討することをおすすめします。

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この記事の監修者

しのぶ皮膚科 院長 蘇原しのぶ Shinobu Sohara

2003年に東海大学医学部を卒業し、北里大学病院皮膚科、獨協大学医科大学附属病院皮膚科を経て、2016年にヒアルロン酸専門クリニック「しのぶ皮膚科」(港区三田)を開業。皮膚科・皮膚外科歴22年。

「ヒアルロン酸小顔カスタマイズ」と名付けたヒアルロン酸注入法で、他院では難しいと言われた患者さまの悩みを改善し、ボリュームアップだけではなく骨格形成、自然な若返り、たるみあげなどを、ヒアルロン酸単独で行う独自技術を持つ。自然な若々しさと美しさを追求したデザイン力に定評があり、日本全国のみならず海外からの患者様も多く、リピート率は90%以上。難病の患者さんの顔痩せや怪我の修復にヒアルロン酸注入による往診を行っている。

略歴

  • 平成15年3月東海大学医学部卒業
  • 平成15年4月北里大学皮膚科
  • 平成18年獨協大学病院皮膚科
  • 平成28年しのぶ皮膚科開業
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