近年、加齢によるほうれい線や唇のボリュームダウンなどを手軽に改善できる治療として、ヒアルロン酸注射が非常に人気を集めています。実際に施術を受けたいと考える方のなかには、「腫れはどのくらい続くのか」「腫れを抑える方法はあるのか」など、ダウンタイムについて不安に思うケースが多いのではないでしょうか。ここでは、ヒアルロン酸注射後の腫れの原因や対処法、腫れが落ち着くまでの日数、抗生物質や冷却の必要性などについて、医師の視点から詳しく解説します。以下のポイントを把握し、安心してヒアルロン酸注射を受けられるよう準備を整えてください。

ヒアルロン酸注射後に腫れが起こる理由
ヒアルロン酸注射は、極細の針やカニューレを用いて皮膚下にヒアルロン酸を注入する治療です。施術そのものは数分程度で終わる簡単なものですが、注射という性質上、皮膚や血管などへの刺激が避けられません。そのため一時的な腫れや内出血が生じることがあります。
● 物理的刺激:針やカニューレの挿入による皮下組織への負担
● 注入物質に対する反応:ヒアルロン酸は元々体内に存在する成分ですが、注入時には周辺組織が一時的に反応し、腫れを起こすことがある
● 体質や体調:体調不良や風邪など、免疫力が落ちているときに受けると腫れがやや強く出る場合もある
こうした一連の要因が重なり、注入後すぐに起こる軽度な腫れは通常の生体反応と考えてよいでしょう。

腫れのピークはいつ?どれくらい続く?
個人差はありますが、ヒアルロン酸注射後の腫れは施術当日から翌日にかけてピークを迎えます。早ければ数時間後から腫れが目立ち始め、2~3日程度で徐々に落ち着いていくケースが大半です。ほうれい線への施術であっても、唇への施術であっても大きく変わることはありません。
● 腫れが目立つ期間:1~3日程度
● ほぼ落ち着くまで:1週間前後
● 完全に定着するまで:2週間~1ヶ月程度
ただし、唇は顔のなかでも特に血流が豊富で、粘膜や皮膚が薄い部位のため、腫れが出やすく痛みを伴う場合もあります。一方、ほうれい線周囲は比較的皮膚に厚みがあるため、同じ量を注入しても唇よりは腫れが軽度に感じられる傾向があります。
腫れが強い・長引く場合の原因と対処法
体調不良や風邪が影響するケース
体調不良や風邪によって免疫力が低下しているときに注射を受けると、患部の炎症が強まりやすくなります。施術前に明らかに熱やだるさなどの症状がある場合は、無理をせず施術日を変更することをおすすめします。
アレルギー反応・感染の可能性
ヒアルロン酸は体内に存在する成分とはいえ、製剤によってはアレルギー反応を起こす場合があります。また、傷口が不衛生な状態にさらされると、まれに感染を起こして腫れや痛みが長引くケースも報告されています。赤みや熱感、強い痛みを伴う場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
過度のマッサージや刺激
ヒアルロン酸注射後の患部を強くマッサージしたり、擦ったりすると、内出血や炎症を悪化させる恐れがあります。施術後数日は、なるべく刺激を加えず、触れる場合もやさしく扱うことを心がけてください。
腫れのセルフケア:冷やす?温める?抗生物質は必要?
腫れを抑えるための冷却
腫れが強いと感じる場合は、冷やすことが有効です。施術当日から翌日にかけて、冷たいタオルや保冷剤を清潔なガーゼなどに包み、短時間で優しく冷却しましょう。ただし、長時間の冷却や強い圧迫は避けてください。
抗生物質の使用
通常の施術後の腫れや内出血であれば、抗生物質を内服する必要はありません。感染症が疑われる場合や、医師が必要と判断した場合にのみ処方されます。自己判断で市販の抗生物質を服用することは避け、必ず医師の指示を仰ぎましょう。
温めるタイミング
施術後すぐは冷やすほうが効果的ですが、数日経って内出血が固まり始めたら、軽く温めることで血行を促進し、内出血の吸収を助ける場合があります。ただし、温める際も患部を圧迫しない程度にやさしく行うことが大切です。
ヒアルロン酸注入部位別の注意点
ほうれい線
ほうれい線は表情筋との兼ね合いもあり、注入後に若干の突っ張り感を覚える方もいます。腫れやむくみは数日で落ち着くことが多いですが、気になる場合は患部を冷却し、強いマッサージを避けましょう。
唇
唇は皮膚が薄いため、ヒアルロン酸注射後は特に腫れやすく、痛みを伴うことがあります。食事や歯磨きで刺激を受けやすい部位なので、施術直後は香辛料の強い食品や熱い飲み物は控えるのが無難です。腫れや内出血は数日で落ち着いていくケースが大半ですが、長引くようなら医療機関へ相談しましょう。
腫れを最小限に抑えるためにできること
信頼できる医療機関・医師を選ぶ
医師の技術によっても腫れの程度やリスク管理は大きく異なります。経験豊富なクリニックを選ぶことが、満足度の高い仕上がりへの近道です。
体調を整えて施術を受ける
風邪や体調不良のときは、炎症が強く出る可能性があるため避けましょう。
施術後のアフターケアを適切に行う
冷却や圧迫の加減を守り、患部を清潔に保つことで腫れや感染を予防します。
無理をして予定を詰め込み過ぎない
施術直後は腫れが出る可能性があるため、大事な仕事やイベントが控えている場合は少し余裕をもったスケジュールを設定しましょう。

心配な症状が出たらどうする?
● 腫れが数日経っても引かない、むしろ悪化している
● 赤みや熱感、痛みが強い
● しこりや硬さがいつまでも続く
こうした症状がある場合は、自己判断せずに医師へ速やかに相談しましょう。適切な処置が必要な場合、追加のケアや治療が行われることがあります。
まとめ:正しい知識で安心してヒアルロン酸注射を受けよう
ヒアルロン酸注射は手軽に受けられ、ダウンタイムも比較的短い治療ですが、施術直後の腫れはどうしても避けられません。
しかし、体調を整えたうえで信頼できるクリニックを選び、施術後の適切なアフターケアを行えば、腫れや内出血の程度は最小限に抑えられます。腫れのピークは1~3日程度で、通常は1週間程度で落ち着いてくるため、必要以上に心配しすぎる必要はありません。
もし長引く腫れや強い痛み、感染が疑われる症状が出た場合は、早めに医師へ相談しましょう。今回の内容を参考に、正しい知識を身につけて、安心してヒアルロン酸注射に臨んでいただければ幸いです。