ヒアルロン酸を長持ちさせるには?種類選びからアフターケアまでを徹底解説

近年、ヒアルロン酸注入はシワやたるみ、涙袋の形成、鼻や顎の形状調整など、さまざまな美容目的で活用される人気の施術です。とはいえ「せっかく注入したヒアルロン酸を少しでも長持ちさせたい」「種類による違いや、長持ちさせるコツを知りたい」と考える方は多いでしょう。そこで本コラムでは、医師の立場からヒアルロン酸の種類や長持ちさせる方法、部位別のポイントなどを詳しく解説します。

ヒアルロン酸の基本と吸収の仕組み

ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分で、水分保持力が非常に高いため、潤いと弾力をもたらす働きがあります。美容医療では、シワやたるみの改善、涙袋の形成やリフトアップなどを目的として注入されます。

但し、ヒアルロン酸は体内に吸収されていく性質があるため、効果は永久的ではありません。個人差はあるものの、通常は4か月~1年半程度で徐々に吸収され、効果が薄れていきます。これは、「ヒアルロン酸注入は何もしなくても自然に体に溶けていくもの」という点を理解しておくことが大切です。

ヒアルロン酸が長持ちする要因:種類と製剤の選び方

1.ヒアルロン酸の「架橋率」に注目

ヒアルロン酸製剤は、粒子の大きさや「架橋(かきょう)」と呼ばれる分子同士の結合の強度によって特徴が異なります。

● 架橋率が高い:粘度や弾性が高く、比較的長期間形状を保ちやすい

● 架橋率が低い:さらっとしているぶん、柔らかな仕上がりだが吸収も早め

長持ちさせたい部位(顎や鼻など)には硬めの製剤を使い、柔らかさや自然さを重視したい部位(涙袋や唇など)にはソフトタイプを使うことが多いです。粒子の大きさや架橋率によって仕上がりの持ちが変わることがわかります。

2.適切な注入量と注入層

製剤の種類だけでなく、適切な量と深さ(注入層)で施術されるかどうかも大切です。鼻や顎への注入では骨膜近くの深めの層、ほうれい線や唇では浅めの層に入れることが多いですが、この“深さの選択”や“注入量の適正”によって持続期間は変動します。

ヒアルロン酸を長持ちさせるためのアフターケアと生活習慣

1.過度なマッサージや圧迫を避ける

涙袋や唇、ほうれい線などデリケートな部位にヒアルロン酸を注入したあとは、不要な刺激や圧力をなるべく控えることが重要です。施術後数日は、強くこするマッサージや、うつ伏せで長時間寝るといった習慣は避けましょう。圧力が加わるとヒアルロン酸の形状が崩れ、吸収が進みやすくなる可能性があります。

2.極端な体温上昇を控える

ヒアルロン酸は温度の影響を受けやすいとされ、極端に体を温める行為(長時間のサウナや岩盤浴、過度な日焼けなど)は分解を早める可能性があります。過度に神経質になる必要はありませんが、施術直後から1週間程度は特に注意しましょう。

3.適度な保湿と紫外線対策

肌の乾燥は、ヒアルロン酸の分解を早める一因といわれています。化粧水や乳液などでこまめな保湿を心がけ、UV対策もしっかり行うと良いでしょう。紫外線は肌の老化を促進し、間接的にヒアルロン酸の吸収を早める可能性があるため、日常的な日焼け止めケアが大切です。

4.生活習慣の改善

偏った食生活や睡眠不足、ストレスは体全体のコンディションを悪化させ、代謝バランスを乱します。その結果、肌のターンオーバーが乱れるだけでなく、ヒアルロン酸の吸収も加速する恐れがあります。適度な睡眠とバランスの良い食事、適度な運動がヒアルロン酸の持続をサポートします。

部位別の長持ちポイント

1.涙袋

涙袋へのヒアルロン酸注入は、表情に柔らかさや愛らしさをもたらします。一方で、皮膚が薄く動きが多い部位でもあるため、吸収されやすいのが特徴です。長持ちさせる方法としては、柔らかめの製剤を過度に入れすぎず、必要最低限の量で自然な形をキープすることがコツです。過度なアイメイクのオフや目元マッサージは避け、施術後は擦らずに優しくケアを行いましょう。

2.ほうれい線

ほうれい線は、加齢によるたるみをダイレクトに印象づける部位です。ここでは皮膚や脂肪の下垂が進んでいるケースもあるため、単純にヒアルロン酸を多量注入するより、適度な量を浅い層とやや深めの層に分けて注入することで形状を保ちやすくします。表情の動きが大きい箇所ですが、注入後は極端に頬を押したりせず、保湿を心がけることで持続期間を長引かせられます。ほうれい線のヒアルロン酸を長持ちさせるには、皮膚ケアと表情筋ケアのバランスも大切です。

3.鼻・顎

鼻や顎は比較的動きの少ない部位であるため、うまく製剤と注入層を選べば長期間持ちやすいメリットがあります。特に隆鼻や顎先の形成では硬めの製剤を骨膜近くに注入することで、形状が崩れにくく、吸収も緩やかになる傾向があります。ただし、メガネやマスクなどの圧迫には注意が必要です。鼻のヒアルロン酸を長持ちさせるには、過度な圧力を避けるのはもちろん、施術後数日間はマスクの種類や着用時間にも気を配ることが推奨されます。

4.唇・おでこ

唇は皮膚が薄く、動きの多い部位の代表格です。飲食や会話で頻繁に動くため、ヒアルロン酸が吸収されやすい面があります。少しでも長持ちさせるには、注入直後の激しい運動は避け、唇を極端にすぼめるクセも見直すとよいでしょう。唇のヒアルロン酸を長持ちさせるには保湿と過度な刺激回避が重要です。

一方、おでこ(額)は表情ジワの原因となる前頭筋の動きが関わるため、ヒアルロン酸が移動しないよう、施術後は強いマッサージや圧迫を控えてください。

ヒアルロン酸が長持ちしない場合の見直しポイント

ヒアルロン酸が思ったより早く吸収されてしまう場合、以下のような点を見直すことをおすすめします。

1.製剤選び

長持ち効果を重視するなら、硬めの製剤や架橋率が高い製剤を選択する。

2.クリニックや医師の技術

適切な部位・層に適量を的確に注入しなければ、早期吸収や不自然な仕上がりを招くこともあります。症例数が多い、信頼できる医師を選ぶことが大切です。

3.術後の過ごし方

圧迫や過度な運動、長時間の入浴など、術後すぐから生活習慣を見直すだけで、持続期間が変化します。

定期的なメンテナンスで理想をキープ

ヒアルロン酸の効果は永続的ではないため、定期的なメンテナンスを行うことで理想的な状態を保ちやすくなります。人によっては「数か月から1年に1回程度」など、ライフスタイルや希望の仕上がりに合わせて調整している方が多いです。施術部位や使用する製剤、個人の代謝によって最適なタイミングは異なるため、医師と相談しながら自分に合ったプランを立てることが望ましいでしょう。

まとめ

ヒアルロン酸注入は、手軽に顔の印象を変えられる人気の施術ですが、「なるべく長持ちさせたい」「涙袋やほうれい線を自然に維持したい」「鼻や顎を長期的にキレイなラインで保ちたい」など、皆さんのご要望はさまざまです。そのためには製剤の選び方や注入技術、アフターケア、そして日々の生活習慣をトータルで見直すことが重要といえます。

特に、

● 製剤の特徴や成分の違い(架橋率の高さ・粘度)

● 術後の生活習慣(圧迫やマッサージを控える、保湿、紫外線対策)

● 部位に応じた注入技術

これらを意識するだけでも、効果が長持ちする可能性を高められるでしょう。

もし「思ったより効果が早く薄れた」「もう少し長持ちさせる方法はないか」と感じる方は、注入時の技術や製剤の選択、施術後の過ごし方などを再度チェックしてみてください。専門医に相談しながら定期メンテナンスを行うことで、ヒアルロン酸の美肌効果をより満足のいく形で持続させることが期待できます。

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この記事の監修者

しのぶ皮膚科 院長 蘇原しのぶ Shinobu Sohara

2003年に東海大学医学部を卒業し、北里大学病院皮膚科、獨協大学医科大学附属病院皮膚科を経て、2016年にヒアルロン酸専門クリニック「しのぶ皮膚科」(港区三田)を開業。皮膚科・皮膚外科歴22年。

「ヒアルロン酸小顔カスタマイズ」と名付けたヒアルロン酸注入法で、他院では難しいと言われた患者さまの悩みを改善し、ボリュームアップだけではなく骨格形成、自然な若返り、たるみあげなどを、ヒアルロン酸単独で行う独自技術を持つ。自然な若々しさと美しさを追求したデザイン力に定評があり、日本全国のみならず海外からの患者様も多く、リピート率は90%以上。難病の患者さんの顔痩せや怪我の修復にヒアルロン酸注入による往診を行っている。

略歴

  • 平成15年3月東海大学医学部卒業
  • 平成15年4月北里大学皮膚科
  • 平成18年獨協大学病院皮膚科
  • 平成28年しのぶ皮膚科開業
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