加齢によるまぶたのたるみや窪みは、多くの方が気にされる悩みの一つです。特に上まぶたのボリュームダウンは、目元の印象を暗くしたり、疲れて見える原因となります。
その改善策として、ヒアルロン酸注入が人気を集めていますが、施術が手軽である一方、まぶたはデリケートな部位であり、いくつかのリスクが存在することも事実です。本コラムでは、上まぶたにヒアルロン酸注入を検討している方のために、そのリスクや失敗例、失敗を防ぐポイント、適切なクリニック選びのコツなどを解説します。

なぜ上まぶたにヒアルロン酸を注入するのか?
上まぶたは加齢や生活習慣、遺伝的な要因によって、骨格の萎縮や脂肪の減少などが進みやすい部位です。すると、まぶた全体が窪んだ印象になり、目元の若々しさが失われがちです。また、「二重幅が狭くなった」「アイシャドウがうまくのらない」などの悩みに直結することも少なくありません。
こうした問題を解決するためのひとつの方法がヒアルロン酸注入です。ヒアルロン酸にはもともと保湿や弾力を持たせる性質があるため、くぼみをふっくらさせる効果が期待できます。メスを使わずに行えるため、「ダウンタイムが短い」「短時間で施術が終わる」というメリットも大きいでしょう。
上まぶたのヒアルロン酸注入における主なリスク
一方で、上まぶたは眼球のすぐ上に位置し、血管や神経が複雑に走っています。さらに皮膚が薄く、施術時の繊細なテクニックが求められることから、下記のようなリスクが生じる可能性があります。
1.形の崩れや凸凹(でこぼこ)
ヒアルロン酸を注入しすぎたり、不適切な位置に注入したりすると、まぶたに膨らみや凹凸が生じるケースがあります。まぶたは他の部位よりも皮膚が薄いため、わずかな量でも不自然な形が目立ちやすい点に注意が必要です。
2.注入部位のむくみや内出血
注入後、まぶたのむくみや軽い内出血が起こることは珍しくありません。時間がたてば落ち着くケースがほとんどですが、強い腫れが続く場合や内出血が長期間にわたって残る場合は、施術の方法や体質が合わなかった可能性があります。
3.血管閉塞など重大なトラブル
極めて稀ではありますが、注入したヒアルロン酸が血管を圧迫し、血行障害を引き起こすことがあります。放置すると皮膚壊死や視力低下など重大な障害につながる恐れがあるため、注入中や施術直後に異常を感じたら、すぐに医師に相談することが重要です。
4.左右差のばらつき
もともと人間の左右の顔は、わずかながら非対称です。施術後に左右差が強調される場合もあり、その原因はヒアルロン酸の注入量やポイントのずれ、あるいは施術前からあった骨格や皮膚の状態の違いにあることもあります。

「失敗しない」ために押さえておきたいポイント
1.上まぶたの構造を熟知した医師を選ぶ
まぶたの構造は複雑で、適切な深さや部位に注入を行わないと、凸凹や過剰なふくらみによる不自然さが目立ってしまいます。眼瞼(まぶた)の施術経験が豊富な医師を選ぶことが大切です。クリニックのウェブサイトやカウンセリング時に、「どのくらいの症例を経験しているか」「これまでの症例写真を見せてくれるか」などを確認しましょう。
2.過度な期待は禁物
ヒアルロン酸注入はあくまで“自然なボリュームアップ”が狙いです。施術前に希望を医師にしっかり伝えることは大事ですが、過度な変化を望むと不自然さが増したり、後々修正が難しくなったりします。カウンセリングでじっくり相談し、目元全体のバランスを考慮した計画を立てるようにしましょう。
3.アフターケアと経過観察を怠らない
万が一、腫れや痛み、内出血が強く出た場合や、左右差が気になる場合は早めに医師に相談を。適切な処置を受けられれば、大きなトラブルに発展するリスクは軽減できます。注入後しばらくは、激しい運動や長時間の入浴、飲酒などは控え、施術部位を安静に保つことが大切です。
4.必要であれば分散注入も検討
1回で理想の仕上がりを目指すよりも、状況によっては少量ずつ注入し、経過を見ながら複数回に分ける「分散注入」が適切な場合があります。とくに上まぶたの施術では、わずかな誤差が大きな違和感につながるため、焦らず様子を見ながら施術を進めるほうがリスクを抑えやすくなります。
ヒアルロン酸以外の選択肢も視野に
上まぶたの窪みを改善する方法はヒアルロン酸注入だけではありません。脂肪注入や他のフィラー剤の使用、あるいはたるみそのものを取り除く手術など、症状や希望の仕上がり、ダウンタイムの許容範囲によってベストな方法は異なります。
「そもそもヒアルロン酸注入が自分のまぶたに合っているのか」を確認するためにも、複数のクリニックでカウンセリングを受け、それぞれの医師の見解を聞いてみるのも良いでしょう。

まとめ
上まぶたにヒアルロン酸を注入することで、加齢や骨格的な問題から生じる窪みやたるみを改善できる可能性があります。一方で、まぶたは皮膚が薄く、血管や神経が集中している繊細な部位のため、施術にはリスクが伴うことを忘れてはいけません。
「手軽に受けられる」「ダウンタイムが短い」というメリットに目を向けすぎず、医師の専門性やクリニックのアフターケア体制をしっかり確認することが重要です。適切な知識を身につけ、信頼できる医師と十分にコミュニケーションを取ることで、より安全かつ満足度の高い仕上がりを実現できるでしょう。
もし施術後に違和感や腫れ、痛みが長引くようであれば、遠慮なくクリニックに問い合わせを行い、早めに診察を受けてください。上まぶたへのヒアルロン酸注入を成功させるカギは、「適切な施術」「リスクを理解したうえでの慎重な判断」「十分な術後管理」の三点にあるといえます。
あなたの目元の悩みを解消し、理想に近づくためにも、正しい情報を収集し、自分に合った施術方法を選択しましょう。