顔を鏡で見たとき、「なんだか疲れて見える」「実年齢より老けて見られる」「昔より顔が下がった気がする」そんな “違和感” を抱えている方は少なくありません。その違和感の正体のひとつとして、多くの方が気づいていないのが、 ゴルゴライン（ミッドチークライン） です。

“あなたの本来の美しさ”を引き出すなら、「ただシワを減らす」「ただ小顔にする」だけではなく、「中顔面の立体感・ボリューム」を取り戻すことが大切だと考えています。そしてそのための強力な味方が、ヒアルロン酸注入による「ゴルゴライン治療」です。
今回は、なぜゴルゴラインが生まれ、なぜヒアルロン酸が有効なのか、誰に向いているのか、注意点はなにか を、専門医の立場から丁寧にご説明します。

 ゴルゴラインとは？ そしてなぜできるのか

ゴルゴラインの正体

ゴルゴラインとは、目頭あたりから頬の中部にかけて斜めに走る “溝（くぼみ）” のこと。正式には「ミッドチークライン（Mid-Cheek Line）」と呼ばれます。

この溝があることで、無表情でも「疲れ顔」「老け顔」「げっそりした印象」を与えやすく、メイクで隠すのは難しく、スキンケアでも改善しづらいことが多いのが特徴です。

なぜゴルゴラインができるのか（原因）

ゴルゴラインが生まれる背景には、以下のような複合的な要因があります

１．年齢による 皮下脂肪・脂肪パッドの減少、頬のボリューム低下。加齢とともに中顔面（ミッドチーク）の脂肪や軟部組織が痩せたり下垂したりすることで、溝が目立ちやすくなります。

２．加齢にともなう 骨格の萎縮や変化。特に上顎骨や頬骨あたりの骨のボリューム低下や位置の後退によって、支えが弱くなり、軟部組織が重力で下がる。これが、ゴルゴラインの形成に関与する場合があります。

３．遺伝や元々の骨格、皮下脂肪の分布、生活習慣（体重の増減、喫煙、姿勢など）などによる個人差。若くてもゴルゴラインが目立つ人もいれば、年齢を重ねても出にくい人もいます。

つまり、ゴルゴラインは「歳をとるほど自然に訪れる老化サイン」だけでなく、「元々の体質・骨格・ライフスタイル」によっても左右される“顔の構造的な特徴”なのです。

このため、スキンケアやマッサージ、表情筋トレーニングなどでは改善が難しく、実際に多くの美容医療クリニックでは「ヒアルロン酸注入」などを推奨しています。

ヒアルロン酸注入がゴルゴライン改善に有効な理由

では、なぜヒアルロン酸注入がゴルゴラインの改善に適しているのか。主な理由は以下の通りです

１．凹みにボリュームを与え、溝を “内側から持ち上げる”

ヒアルロン酸は、乾いたスポンジが水を吸ってふくらむように、水分を多く保持する性質を持っています。注入することで、くぼんだ部分にボリュームが戻り、皮膚の溝・影を改善できます。
さらに、適度な硬さ（粘弾性）を持つヒアルロン酸を選べば、注入部位にしっかりと留まり、長期間にわたる支持構造として機能します。これにより、自然で違和感のない “ふっくら中顔面” を実現できます。

２．即効性とダウンタイムの少なさ

切らずに注射だけで済むため、施術時間は短く（クリニックによって5〜30分程度）、ダウンタイムや術後の制限も軽め。日常生活への支障が少なく、忙しい現代女性にも取り入れやすい手段です。
また、注入直後から効果を実感できるケースが多く、「すぐに見た目を変えたい」「仕事や人前に出る予定がある」というニーズにも応えやすいのが魅力です。

３．比較的リスクが少なく、コントロールしやすい

ヒアルロン酸は元々体内にも存在する物質であり、アレルギー反応の可能性が比較的低く、安全性が高い注入材とされます。
また、注入量や注入位置、使用する製剤の特性によって「自然さ」「持続性」「柔らかさ」「形」をコントロールしやすいため、一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療が可能です。

どんな人に向いているか／向かないか — 適応と注意点

ただし、ゴルゴラインに対してヒアルロン酸注入が万能かというと、そうではありません。私（しのぶ先生）のクリニックで患者さんとカウンセリングする際には、必ず以下のような観点から「あなたにとって本当に適切か」を見極めています。

１．ヒアルロン酸注入が向いている人

・年齢による脂肪減少やたるみで、頬の “くぼみ・影・ゴルゴライン” が目立ち始めた人。

・骨格的には頬骨や上顎骨が控えめで、中顔面にふくらみや支えが少ない構造の人。

・ダウンタイムを長く取りたくない、手軽に改善したい人。

・初めての美容医療で「まずは気軽に変化を試したい」という人。

・将来の変化を見据え、少しずつ自然に調整したい人。

２．ヒアルロン酸注入を慎重に考えるべき／他の方法を検討すべき人・注意点

・ゴルゴラインの原因が “筋膜の引き下げ”“靭帯の癒着”“大きな骨格の問題” など、単純なボリューム減少ではないケース。こうした場合、ヒアルロン酸だけでは不十分、あるいは不自然な仕上がりになる可能性があります。

・過去に何度も注入を受けていて、皮膚が硬くなっていたり、しこりがある人。ヒアルロン酸は繰り返すほどしこりや凹凸のリスクが上がるという報告もあります。

・長期的な維持を望む人。ヒアルロン酸は徐々に吸収されるため、効果を持続させるには定期的なメンテナンスが必要です。

・“とにかく若返ればいい”“少しでもふくらませばいい”という考えよりも、「自然な仕上がり」「顔全体のバランス」「将来的な顔の変化」を重視する人。注入量や層、製剤選び、注入技術など――すべてを慎重に設計することが重要です。

“私流” — 私が大切にする「安全で自然なゴルゴライン治療」のこだわり

私が、ゴルゴラインのヒアルロン酸治療を行う際に特にこだわっているポイントを、患者さんとのカウンセリングも含めて紹介します。

１．解剖学・フェイスバランスの徹底的な理解

ゴルゴラインは、単なるシワではなく「中顔面の構造変化」によるもの。だからこそ、頬骨の位置、上顎骨のボリューム、脂肪パッドの有無、皮膚の厚み、顔全体のバランス――これらを総合的に診断します。そして、「どこに／どの深さに／どれくらいの量を注入すれば自然か」をオーダーメイドで設計。

「ただ溝を埋める」のではなく、「あなたらしい中顔面の立体感」「笑ったときや表情を動かしたときの自然な動き」「全体の調和」を重視します。

２．製剤・注入技法のこだわり

ゴルゴライン治療では、柔らかすぎるとすぐ吸収されてしまい、硬すぎると不自然になりやすいため、ヒアルロン酸の種類選びが重要です。私は通常、中〜やや硬め（適度な粘弾性）の製剤を選び、注入量も「必要最低限」を守ります。これにより、自然なボリュームアップと持続力、そして顔の表情に追従する柔らかさの両立を狙います。

また、注入層や針（／カニューレ）の選択、注入速度や方向、量の調整など、すべてを慎重にコントロールします。これが、 “ヒアルロン酸した感ゼロ” の自然な仕上がりにつながるのです。

３．患者さんとの丁寧なカウンセリングと共有

私は、治療前に患者さんと「理想の顔のイメージ」をすり合わせる時間を大切にしています。なぜなら、ゴルゴラインの改善だけではなく、顔全体のバランスや今後の経過も見据える必要があるからです。

また、ヒアルロン酸は “永久固定” ではなく「メンテナンスが必要」な治療であることを正直にお伝えします。施術のメリット・デメリット、リスク、持続期間、費用、将来的な計画――すべてを患者さんと一緒に考えた上で、納得して治療を受けていただきたいと考えています。

ヒアルロン酸治療だけじゃない — 場合によっては併用も視野に

確かにヒアルロン酸注入は多くのゴルゴラインに有効ですが、“全てのケース”で万能というわけではありません。特に骨格的な問題や靭帯・筋膜の下垂が強い場合、もしくは過去注入の履歴がある場合などは、以下のような他の治療の検討が有効です。

・自己脂肪注入（脂肪パッドを用いたボリュームアップ）
・たるみ用のレーザーやリフト治療、肌質改善治療との複合
・表情筋のサポート、筋肉トレーニング、生活習慣の見直し

私は、患者さんごとの状態や希望に応じて「ヒアルロン酸のみ」ではなく「最適な組み合わせ治療プラン」をご提案することもあります。これこそが、「美しさ」と「自然さ」、そして「持続性」を両立するための、本当の意味での “あなたらしいフェイスデザイン” だと信じています。

最後に — ゴルゴラインと、向き合うということ

ゴルゴラインは、多くの場合「歳とともに仕方なくできるもの」「避けられない老化のサイン」と捉えられがち。でも実は、正しい理解と適切なアプローチによって、「若々しさ」「立体感」「ふっくらとした中顔面」を取り戻すことが可能です。

もしあなたが、鏡を見るたびに「昔の自分と違う」「なんとなく疲れて見える」「写真写りが老けて見える」と感じているなら――ゴルゴラインの改善を検討する価値は大いにあると思います。

そして、あなたが自然で無理のない“理想の顔”を追求するのであれば、“最少の注入で最大の効果を”、“顔全体のバランスを見据えたデザインを”、そして“将来の変化にも対応できる治療プランを”――それが、私の願いです。

まずは、あなたの希望・骨格・ライフスタイルにあわせたカウンセリングから。一緒に、「あなたらしい美しさ」を取り戻す一歩を踏み出しませんか？カウンセリングだけでも是非いらっしゃってくださいませ。

※ご参考までに下記メニューをご覧ください。