ヒアルロン酸注射は顔のボリュームアップやしわ改善に広く使われています。一方で「ヒアルロン酸が残るのではないか」ということを心配される方や、施術後にしこりや凸凹感を気にされる方も少なくありません。
実際、ヒアルロン酸の種類や施術部位、個人差によっては本来の吸収期間を過ぎても一部が残るケースがあります。
多くのヒアルロン酸は体内の酵素によって徐々に分解・吸収されるため、いずれは体外へ排出されるとされていますが、「完全に吸収されず、一部が残る」のか?という点に不安を抱えている方も多いのが現状です。本記事では顔の各部位ごとのヒアルロン酸の持続時間や「残る」原因、対処法などを詳しく解説します。
ヒアルロン酸が残りやすい部位・症状
涙袋へのヒアルロン酸
● 目元は皮膚が薄く、少量のヒアルロン酸でも効果が現れやすい反面、質感や形状の変化が顕著に表れます。
● よくあるトラブル:施術後にむくんだような腫れを感じ、それが長引くと「ヒアルロン酸がのこっているのでは?」と感じやすいことがあります。しかし実際には一時的なむくみである場合があります。
唇へのヒアルロン酸
● 特徴:唇は表情や食事で頻繁に動く部位なので、比較的吸収が早いと言われています。しかし、唇自体の血流が豊富であるため、むくみや内出血が起きやすいのも特徴です。
● よくあるトラブル:施術直後にやや硬さを感じ「唇に残っているのでは?」と思うことがありますが、数週間経つと柔らかくなり自然になじむケースが殆どです。
顎へのヒアルロン酸
● 特徴:顎も鼻同様に骨格に沿ってヒアルロン酸を入れるため、比較的崩れにくい部分です。フェイスラインのバランスを整えるために人気の施術ですが、表情の動きが少ない」と持続時間が長めになる場合があります。
● よくあるトラブル:顎先にヒアルロン酸を入れた後、触ると硬さが持続していると感じる場合があります。気になる場合は施術医に相談しましょう。
ほうれい線へのヒアルロン酸
● 特徴:ほうれい線は比較的に吸収が早い部位とされています。日常的に口元をよく動かすため、ヒアルロン酸も流動しやすいからです。
● よくあるトラブル:ほうれい線の範囲が広い場合、量が多めに注入されると凸凹を感じやすいことがあります。時間の経過とともになじむことが多いですが、残っている感じが続く場合は適切なマッサージや酵素注射で対処可能です。
目の下やおでこなど、他の部位
● 目の下は涙袋と同様、皮膚が薄く血行不良やむくみが目立ちやすい部位です。注射量や施術の深さが適切でない場合、凸凹感や青白く見える「チンダル現象」が起きることもあります。
● おでこは広い面積を持つため、自然な丸みを出すには比較的多めのヒアルロン酸が注入されることがあります。その結果、吸収に時間がかかるケースや、打ち方によっては一部が硬く感じられるケースもあるようです。
非架橋ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸の違い
● 非架橋ヒアルロン酸:粒子の結合が少なく柔らかいため、皮膚表面の細かいしわや保湿目的で使用されることが多い。吸収も比較的早い傾向にあります。
● 架橋ヒアルロン酸:粒子を化学的に結合(架橋)させているため、より形状をキープしやすく持続時間が長いのが特徴。但し、残る期間が長い分、硬く感じる場合もあります。
施術の部位や目的によってヒアルロン酸の種類を変えることが一般的です。施術部位に適したヒアルロン酸を選ぶことが重要です。
ヒアルロン酸が残る人と残らない人の違い
● 個人差:体質や新陳代謝の差によって分解・吸収される速度が異なります。また、喫煙・飲酒などの生活習慣や、年齢・肌質によっても影響が出るとされています。
● 施術方法の違い:医師の技術や注射する層の深さによってはヒアルロン酸が適切に広がらず、一部分に溜まりやすくなることがあります。
● アフターケア:マッサージや冷却、表情の動かし方など適切なアフターケアをしなかった場合、吸収が遅れる可能性もあります。
ヒアルロン酸が吸収されにくい・残った場合の対処法
時間をおく
● ヒアルロン酸の種類や施術部位によっては数か月~2年程度は自然に吸収されるケースが殆どです。施術後の腫れやむくみが落ち着くまで待つことも大切です。
マッサージや温めるケア
● 医師の指示のもと、軽いマッサージでなじませることで吸収を促進し、凸凹や硬さを和らげることがあります。但し、強いマッサージはかえって炎症を引き起こす場合もあるため要注意です。
分解酵素注射(ヒアルロニダーゼ)で分解する
● 明らかにヒアルロン酸が塊として残っている、または左右差が気になる場合は医療機関でヒアルロニダーゼ注射を行い、ヒアルロン酸を分解除去することが可能です。
施術クリニックに相談
● 施術を受けたクリニック、または美容皮膚科に相談して原因を特定してもらいましょう。ヒアルロン酸の残存・凸凹は医師の判断で適切に対処できます。
まとめ
ヒアルロン酸は基本的に時間の経過とともに体内で分解・吸収されますが、施術部位・ヒアルロン酸の種類・個人差によっては長時間「残る」感触を覚える方もいます。特に「涙袋」「唇」「鼻」「顎」「ほうれい線」など、よく動かす部位や凸凹の気になりやすい部位は術後のトラブルが起こりやすい反面、適切な対処や時間の経過で自然に落ち着くケースが大半です。
「ヒアルロン酸が残るかどうか」を気にされる方はカウンセリング時に使用するヒアルロン酸の種類(非架橋か架橋か)や施術の深さ、想定の持続期間をしっかりと医師に確認することが大切です。また、万が一ヒアルロン酸が塊として残ってしまっても酵素注射で分解・除去が可能ですので施術を受けたクリニックや美容皮膚科に相談してみてください。
ヒアルロン酸注射は適切な施術を行えば、顔全体の若返りや美しい輪郭作りに大きな効果をもたらす治療法です。安心・安全な施術を受けて美しさを保ちましょう。