「糖質制限で体重は落ちたのに 肌がカサカサ…」「逆にニキビが減ってツルツルになった」本コラムでは皮膚科医の立場から最新エビデンスと臨床データを整理し、後悔しない糖質制限のコツを解説します。

肌老化の隠れ犯 “糖化” をブロック
余剰糖とタンパク質が結びつき AGE(終末糖化産物)を生む「糖化」はシミ・シワ・黄ぐすみの元凶です。適度な糖質制限で血糖急上昇を抑えれば AGE 蓄積を抑制でき、「肌ツヤが整った」「透明感が出た」という報告も多く見られます。
皮脂コントロールとニキビ改善
高糖質食→インスリン急増→皮脂過剰、という流れでニキビを悪化させます。1 日糖質量を 100 g 以内に抑えると皮脂分泌が平均20 %低下し、Uゾーンの炎症性ニキビが減少したデータもあります。
極端な制限が招く “老け顔スパイラル”
・代謝低下・血行不良:糖質は赤血球と脳の主要エネルギー。50 g/日以下まで急減させると血行が悪化しクマ・くすみが深刻化します。
・乾燥・バリア機能低下:必須脂肪酸まで削ると皮脂膜が薄くなり水分蒸散量があがります。
・筋量減少とたるみ:糖質不足を補うため筋タンパクが分解されるとフェイスラインがたるみやすくなります。

医師推奨 “適糖” プログラム 美肌とダイエットを両立する 5 ステップ
1.漸減:主食量を 1 週間ごとに 20 %ずつカット、最終的に 1 食糖質 20–30 g を目安に。
2.タンパク補充:体重 1 kg あたり 1.2 g(例:鶏胸肉 100 g・卵 1 個・納豆 1 P)。
3.良質脂質+ビタミン:EPA/DHA・亜麻仁油・ナッツを毎食小さじ 1、色の濃い野菜でビタミン A C E を確保。
4.タイミング:まず夕食の主食を豆腐・オートミールに置き換え、昼はゆるめに残すと続けやすい。
5.運動&睡眠:週 2 回 15 分 HIIT+筋トレで筋分解を防ぎ、睡眠 6 h 以上で成長ホルモンをサポート。

乾燥・栄養不足を防ぐ「+α」ケア
・必須脂肪酸不足 → 青魚 or えごま油を大さじ 1/日
・ターンオーバー停滞 → ビタミン B 群・亜鉛を意識的に摂取
・肌荒れサイン → セラミド・ヘパリン類似物質配合保湿剤で外側からフォロー
よくある質問
Q1. 糖質ゼロ飲料は好きなだけ飲んで OK?
A1. 人工甘味料が腸内細菌を乱し肌荒れを招く報告もあります。1 日 500 ml 以内が安全ラインです。
Q2. フルーツも NG?
A2. 低 GI のベリー類・キウイは朝食に適量ならおすすめです。
Q3. チートデイは必要?
A3. メンタル維持のため月 2 回まで。翌日は高タンパク+運動でリカバリーをしましょう。
美肌を底上げするおすすめ食材
◎タンパク質:鶏ささみ/サバ缶/ギリシャヨーグルト/豆腐/枝豆
◎低 GI 炭水化物:玄米/もち麦/オートミール/全粒粉パスタ
◎良質脂質:アボカド/アーモンド/クルミ/亜麻仁油/チアシード
◎抗酸化ビタミン:赤パプリカ/ブロッコリー/モロヘイヤ/キウイ/ベリー
◎ミネラル:牡蠣/あさり/カカオ 70 % チョコ
避けたい食品・習慣
×清涼飲料水・菓子パン(高糖質&血糖急上昇)
×揚げ物過多(高温調理で AGE 増加)
×寝不足・喫煙(糖化と酸化を同時に進める)
×自己流ファスティングの連発(リバウンドで肌がくすみます)
まとめ
糖質は「完全悪」ではなく摂り方次第で肌を老化させる敵にも、再生を助ける味方にもなります。AGE を抑える“適糖”コントロールと栄養バランスを守ることこそ、美しい肌と健康的なボディラインを同時にかなえる近道です。ご参考になさってください。