「洗顔なんて何を使っても同じ」「水だけで十分」といった声が散見されることがあります。忙しい朝は時短したい、コスメにお金をかけたくない――こうした“なんでもいい”派の背景には、①コスト意識、②時短ニーズ、③情報過多による混乱、④過去のつっぱり体験――が潜んでいます。しかし、医師の立場から見ると“なんでもいい洗顔”こそ将来の乾燥・くすみ・ニキビの温床になることが少なくありません。では、何が本当に“ベスト”なのかを解説したいと思います。

「なんでもいい」と言いたくなる4つの理由
1.コスパ重視: 高価なクレンジングや洗顔料は続かない。
2.時短: 朝は1分でも長く寝ていたい。
3.情報疲れ:専門家の真逆の意見が並び、比較を放棄したくなる。
4.失敗体験:以前使った洗顔料でつっぱり・赤みが出たり、変化を感じなかった。
こうした心理を理解せずに「高い洗顔料を買いましょう」と言っても響きません。まずは“なぜ選びたくないのか”を可視化し、解決策を提示することがカギです。
医師が実感する「洗顔軽視」が招く4大トラブル
・皮脂酸化によるくすみ/毛穴黒ずみ
・つっぱり→バリア低下→敏感肌化
・角質肥厚によるざらつきと化粧ノリ低下
・アクネ菌増殖による大人ニキビ再発
汚れを落としすぎないと落とさなさすぎの間には明確な境界線があり、洗顔料選びと洗い方でコントロールできる領域です。

朝の「水だけ vs 洗顔料」論争の医学的結論
就寝中にも汗・皮脂・ほこりが付着していますので、朝の洗顔は大切です。特に皮脂酸化はメイク崩れ・テカリの原因になるため、やさしく除去+即保湿がベストです。
ワンポイント
・ぬるま湯32-34℃
・レモン1個分の濃密泡
・すすぎ時間は約60秒
・タオルで押さえるように水気を取る
話題の「ベビーオイル洗顔」は誰向き?
乾燥肌〜敏感肌には〇、脂性肌・ニキビ肌には△~× です。オイル残存による毛穴詰まりや赤ら顔リスクが指摘されています。皮脂分泌の多いTゾーンは別洗い(泡洗顔)と組み合わせるハイブリッド法が安全です。
肌タイプ別・洗顔料選び3ステップ
1.皮脂量(Tゾーンのテカリ時間)
・推奨洗浄成分:アミノ酸系+弱アルカリ
・泡質の目安:逆さにしても落ちない弾力
2.バリア状態(つっぱり有無)
・推奨洗浄成分:グリセリン・セラミド配合
・泡質の目安:きめ細かくホイップ状
3.ニキビ・毛穴悩み
・推奨洗浄成分:サリチル酸・酵素系
・泡質の目安:モコモコ泡+部分パック可

医師推奨・後悔しない洗顔ルーティン(約3分)
1.手洗い10秒(手の皮脂をオフ)
2.予洗い10秒(ぬるま湯)
3.泡立て30秒(ネット推奨)
4.泡乗せ30秒(Tゾーン→Uゾーンの順)
5.すすぎ60秒(髪の生え際・あご下まで)
6.タオルドライ10秒(押さえるだけ)
7.化粧水は60秒以内に(蒸発前にバリア補修)

よくある質問(FAQ)
Q1. 夜にW洗顔しているから朝は水だけでいい?
A1. 皮脂酸化は6時間で進行。夜のケアが完璧でも寝汗・ほこりは付着しているため、朝も泡洗顔がお勧めです。
Q2. チープな固形石けんでもOK?
A2.洗浄力が強くpHが高いものが多いので、乾燥・敏感傾向のある人は注意してください。
Q3. 週1の酵素洗顔は必要?
A3.角栓・ザラつきが気になるなら有効です。ただし敏感肌は月2回程度にとどめ、必ず保湿とUVケアをセットにしましょう。
まとめ
・“洗顔はなんでもいい”は間違いです。 肌タイプと生活習慣でベストの洗顔は変わります。
・朝は泡洗顔で皮脂酸化をリセット、夜はメイク・皮脂をしっかりオフしましょう。
・ベビーオイル洗顔などトレンドメソッドは適応肌質を見極めてからにしまそふ。
・洗顔=“落とす”だけでなく“守る準備”。だからこそ最初の1分が将来の肌年齢を左右します。
洗顔で迷ったら、皮膚科専門医のカウンセリングを活用してください。毎日のルーティンが未来のトラブル予防に直結します。