マリオネットラインに糸リフトは効果ある?原因・必要な本数・ヒアルロン酸との違いを皮膚科医が解説

「口角から顎に向かって伸びる線が目立ってきた」
「マリオネットラインのせいで、怒っているように見える」
「糸リフトをすれば、この線は消えるの?」

こんにちは。しのぶ皮膚科院長の蘇原しのぶです。

マリオネットラインは、年齢とともに気になりやすくなる口元の代表的なお悩みです。

鏡を見るたびに「こんな線、昔はなかったのに」とショックを受ける方もいらっしゃいます。

そこで候補に挙がるのが「糸リフト」です。

結論からいうと、マリオネットラインの原因が頬や口元の「たるみ」にある場合、糸リフトは有力な選択肢の一つです。ただし、すべてのマリオネットラインが糸リフトだけできれいになるわけではありません。

大切なのは、「線だけを見る」のではなく、なぜそこに線ができたのかを診断することです。

マリオネットラインとは?

マリオネットラインとは、口角の外側から顎に向かって伸びる溝のことです。

腹話術で使われる人形「マリオネット」の口元に似ていることから、この名前で呼ばれています。

ほうれい線より下にできるため、目立ってくると、口角が下がって見える、不機嫌そうに見える、フェイスラインがもたつく、実年齢より老けて見える、といった印象につながります。

「シワができた」と考えて、クリームを一生懸命塗っている方もいますが、実はマリオネットラインは単純な皮膚表面のシワではありません。

マリオネットラインができる本当の原因

顔は、骨の上に脂肪、筋肉、靭帯、皮膚などが重なってできています。

加齢によって骨格の支えが変化し、脂肪の位置や量が変わり、皮膚の弾力も低下します。

すると、若い頃には高い位置にあった頬のボリュームが下方へ移動し、口元に重さが集まってきます。

さらに、口角を下方向へ引く筋肉の影響や、顎周辺のボリュームバランスなどが重なることで、口角から顎に向かって影が生まれます。

これがマリオネットラインです。

つまり、「マリオネットライン=線」ではなく、「顔全体の構造変化が、線として見えている」と考えることが重要なのです。

マリオネットラインに糸リフトが向いている理由

糸リフトは、特殊な糸を皮下に挿入し、下がった組織を適切な方向へ移動させる治療です。

特にコグと呼ばれる突起がついた糸では、皮下組織をとらえて持ち上げる作用があります。

マリオネットラインの場合、線そのものを糸で消すというより、「口元へ下がってきた組織を上方向・外側方向へ戻す」ことで、口角周辺の重さを軽減し、結果としてラインを目立ちにくくしていきます。

ここが非常に大切なポイントです。

マリオネットラインの真上だけを治療するのではなく、その上にある頬やフェイスラインを含めて考えなければ、自然な若返りにはつながりません。

糸リフトは何本入れればいい?

「マリオネットラインには何本必要ですか?」

これは非常によく聞かれる質問ですが、誰でも同じ本数というわけではありません。

必要な本数は、たるみの程度、皮下脂肪の量、顔の大きさ、使用する糸の種類、どの方向へ引き上げるか、どこまで変化を希望するか、などによって変わります。

大切なのは「本数が多いほどきれいになる」と考えないことです。

糸リフトは本数よりも、どの組織を、どの方向へ、どの程度動かすのかという設計が重要です。

顔は一人ひとり違いますから、診察せずに「○本入れればマリオネットラインが消える」と断定することはできません。

糸リフトだけでは改善しにくい人もいる

ここはぜひ知っていただきたいところです。

マリオネットラインがあるからといって、全員に糸リフトがベストとは限りません。

例えば、頬の下垂が主な原因であれば糸リフトが適している可能性があります。

一方、骨格のボリューム低下や口元のくぼみが大きい場合には、ヒアルロン酸によって失われた支えを補うほうが適していることがあります。

また、口角を下げる筋肉の働きが強い場合には、ボツリヌストキシン治療を組み合わせることもあります。

たるみが非常に強い場合には、糸リフトだけでは十分な変化を得にくいこともあります。

つまり大切なのは、「マリオネットラインにはこの治療」と決めつけないことなのです。

糸リフトとヒアルロン酸、どちらがいい?

これも非常によく聞かれます。

私は「どちらが優れているか」ではなく、「何が原因なのか」で考えます。

下がった組織を移動させたいのであれば、糸リフト。

失われたボリュームや骨格の支えを補いたいのであれば、ヒアルロン酸。

そして実際には、その両方が関係している方も少なくありません。

その場合には、糸リフトとヒアルロン酸を組み合わせることで、単純に線を埋めるのではなく、顔全体のバランスを整える治療が可能になります。

糸リフトのダウンタイムと注意点

糸リフト後には、腫れ、内出血、痛み、むくみ、つっぱり感、皮膚の凹凸などが生じることがあります。

多くは時間の経過とともに落ち着きますが、程度や期間には個人差があります。

また、頻度は高くありませんが、感染、左右差、糸が透ける・触れる、糸の露出などの合併症が起こる可能性もあります。

施術後に強い痛みや赤み、腫れなど気になる症状が続く場合には、施術を受けた医療機関へ相談しましょう。

糸リフトも医療行為です。

「切らないから簡単」と考えず、顔の解剖を理解し、トラブル時にも適切に対応できる医師を選ぶことが大切です。

当院がマリオネットライン治療で大切にしていること

私はマリオネットラインを診るとき、最初から「ここに糸を入れましょう」とは考えません。

まず、顔全体を見ます。

頬はどこから下がっているのか。

骨格の支えはどうなっているのか。

どこにボリュームが足りず、どこに重さが集まっているのか。

口角や顎とのバランスはどうなのか。

なぜなら、マリオネットラインは「老化の原因」ではなく、「顔全体の変化によって現れた結果」だからです。

線だけをなくそうとすると、そこだけが不自然になってしまうことがあります。

糸リフトが向いている方には糸リフトを。

ヒアルロン酸が必要な方にはヒアルロン酸を。

組み合わせたほうが自然な方には、顔全体を見ながら治療を設計します。

私が目指しているのは、「マリオネットラインだけがなくなった顔」ではありません。

「なんだか顔が上がった」、「口元がすっきりした」、「若くなったけれど、何をしたかわからない」、そんな自然な変化です。

まとめ|マリオネットラインは「線」ではなく顔全体を見て治療する

マリオネットラインは、皮膚だけの問題ではありません。

加齢による脂肪の下垂やボリューム変化、骨格、靭帯、筋肉、皮膚など、さまざまな要因が重なって目立つようになります。

たるみが大きな原因であれば、糸リフトによって下がった組織を引き上げることで改善が期待できます。

しかし、くぼみや骨格の支えが原因ならヒアルロン酸、筋肉の影響が強ければボツリヌストキシンなど、別のアプローチが適している場合もあります。

だからこそ重要なのは、「マリオネットラインに糸リフトを何本入れるか」から考えるのではなく、「なぜ私のマリオネットラインはできているのか?」から考えること。

口元だけではなく顔全体の構造を診断し、その方に必要な治療を選ぶことが、自然で若々しい仕上がりへの近道です。

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この記事の監修者

しのぶ皮膚科 院長 蘇原しのぶ Shinobu Sohara

2003年に東海大学医学部を卒業し、北里大学病院皮膚科、獨協大学医科大学附属病院皮膚科を経て、2016年にヒアルロン酸専門クリニック「しのぶ皮膚科」(港区三田)を開業。皮膚科・皮膚外科歴22年。

「ヒアルロン酸小顔カスタマイズ」と名付けたヒアルロン酸注入法で、他院では難しいと言われた患者さまの悩みを改善し、ボリュームアップだけではなく骨格形成、自然な若返り、たるみあげなどを、ヒアルロン酸単独で行う独自技術を持つ。自然な若々しさと美しさを追求したデザイン力に定評があり、日本全国のみならず海外からの患者様も多く、リピート率は90%以上。難病の患者さんの顔痩せや怪我の修復にヒアルロン酸注入による往診を行っている。

略歴

  • 平成15年3月東海大学医学部卒業
  • 平成15年4月北里大学皮膚科
  • 平成18年獨協大学病院皮膚科
  • 平成28年しのぶ皮膚科開業
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